■画像モード

  

PhotoshopにおけるRGBスライダとCMYKスライダ
同じ色でも各々のカラーピッカーで表現の仕方が異なる。

●画像モードによる違い

CMYK
印刷の3原色で、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)に黒(K)を加えた画像(色)モードのことです。理論的にはCMYで全ての色が表現されるはずですが、実際にはCMYのインクを全て100%にしても黒にならないために、黒成分を別に加えています。出力機器やソフトウェアによっては、RGBモードをCMYKモードに自動変換して出力できるものもあります。黒は印刷業界では元々BL(black)と呼ばれていたため、以前はCMYKでは通じないこともありました。

RGB
光の3原色で赤(R)・緑(G)・青(B) で表される画像モードのことです。モニターがRGBのため、コンピュータで扱う画像モードはRGBが主体となります。CMYKに比べて色帯域幅が広く、より自然に近い色表現ができます。しかし、印刷の際には表現できない色帯域が含まれることになり、モニター表示と印刷との間にギャップが生じます。現在ではカラーマッチングの進歩によって、モニター画面と印刷出力の間の差違が少なくなりました。

グレースケール
カラー画像から色情報を除き、明暗のみで表現する画像モードのことです。通常8ビットで扱うことから、白-黒の間を256階調で表現します。カラー情報が無いためにファイル容量が小さくなります。カラーが一般的となった昨今では利用する機会は少なくなりましたが、初期のコンピューターではカラーが扱えなかったため、白黒2値かグレースケールが一般的でした。現在では、表現効果の手段として使われることが多いようです。

白黒2値
画像を白と黒のみで表現する画像モードです。そのため表現できる画像には制限があります。昔はデータ転送速度が低かったため、盛んに使用されていました。プリンタやFAXで文字だけを印刷するような場合は、小さなデータで済むために都合が良いのですが、白と黒だけの画像ではよくわからない状態になってしまいます。そこで、白と黒の2値だけでグレースケールのような階調を表現するために、ディザという手法が考え出されました。例えば、モノクロレーザープリンタの印刷物を見ると、画像もグレースケールのようにきれいに見えます。ですが、良く見ると大きさが違う細かい点の集まりであることがわかります。これがディザによる表現で、点の大きさで点を含む特定の領域の明暗を表現しており、実質的な解像度を犠牲にする形で階調表現力を高めているわけです。画像としてはやや荒くなり、グレースケールほどの表現力はありませんが、簡易的にはこれでも十分だと思われます。


●画像データファイル形式

画像データファイル形式とは、グラフィックソフトで保存する際のデータフォーマットによる分類であり、WindowsではBMP、MacintoshではPICT(現在はPICT2)が採用されています。またTIFFはどちらのプラットフォームでも多くのソフトウェアがサポートしています(ただし、WindowsとMacintoshでは圧縮形式が異なるため完全な互換では無い)。この他にも様々なファイル形式があって、利用する際にアプリケーションがサポートするファイルに変換する必要が生じます。今ではJPEG形式が一般的に使われていますが、画面解像度(低解像度)で保存されているのが普通で(JPEG形式自体は解像度情報を持つ)、印刷する際にそのまま出力すると画像が粗くなってしまいます。現在は高解像度で保存されていれば、アプリケーション側で自動的に調整されて、特に意識するようなことはほとんど無いと思います。 なお、Adobe Photoshop等のように、Windows版とMacintosh版の両方があるアプリケーションでは、どちらでも扱えるように保存ファイルフォーマットを統一しています。例えばPhotoshopでは、PSD形式という独自のフォーマットを採用しています。

PSD
Adobe Photoshopが採用するオリジナル保存形式。ファイルサイズが小さく、CMYK、RGBのいずれのモードも扱え、更にVer.3からはマルチレイヤーもサポートしています。DTPでグラフィックを扱う場合は、元データをこの形式で扱うのが普通です。

EPS
ポストスクリプト言語を扱うイラストレーション、レイアウトソフトで標準的に使用されているファイル形式で、商業印刷では必須フォーマットと言えるものです。ただし、高品質の出力にはポストスクリプトプリンタやイメージセッタが必要となります。CMYK画像モードをサポートし、マスク処理によって透過画像にすることもできます。ポストスクリプトに対応していない一般的なWindows(Dos/V)やMac用のプリンタで出力する場合は、前者ならBMP、後者ならPICTといった形式に変換する必要があり、TIFFならどちらでも扱えます。画像変換にはPhotoshopがおすすめです(Photoshopのライト版はCMYKをサポートしていないので注意が必要)。GIMPと言うフリーソフトなら、プラグインを追加することでCMYKの変換が可能になります。

JPEG
圧縮画像形式のひとつで、JPEG圧縮された画像は元の画像に比べてかなり小さな容量になります。ホームページではGIFと並んでよく使われる形式(今ではJPEGが主流)で、主に写真等の広い色帯域を持った大容量の画像に適用されます。画像品質と容量は圧縮オプションで異なり、低圧縮率では画像容量はやや大きくなるものの、元の画像とほとんど見分けがつきません。PDFにも採用され、画面表示から印刷まで幅広く利用されています。ただし、非可逆圧縮を行うことで保存する際に劣化を伴うため、画像を編集するような場合には注意が必要です。

TIFF
IBMが定めたビットマップ保存形式で、WindowsとMacintoshの両方で利用されています。解像度情報を扱えるため、画面表示から印刷まで幅広く利用されています。ただし、圧縮形式においてWindowsとMacintoshでは完全な互換性が無く、それぞれのプラットフォーム用の圧縮オプションで保存する必要があります。

BMP
Windowsで使われる標準的なビットマップ保存形式です。Windowsプラットフォーム上で扱うには最も汎用性が高く、解像度情報も扱えることから、ソフトウェアがサポートしていれば印刷でも高解像度出力ができます。

PICT
Macintoshで使われる標準的なビットマップ保存形式です。Macintoshプラットフォーム上で扱うには最も汎用性が高く、解像度情報も扱えることから、ソフトウェアがサポートしていれば印刷でも高解像度出力ができます。

COSMOLIGHTのイラスト集では、PSD・JPEG形式ではRGBモード、EPS・AI形式ではCMYKモードを採用しています。なお、Photoshop等のグラフィックソフトを利用すれば、画像モード、データ形式の変換ができます。